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いなかの猫の天邪鬼部屋

第27話

OnAir~シーズン3・第27話~


#ギョンミンとヨンウンの寝室

ギョンミン : ...それで、今書いてるのは何だ?

ヨンウン : うん...ソ・ヨンウンのアイデンティティに関する整理。

ギョンミン : アイデンティティ?急にどうした?.....辛い事でもあるのか?

ヨンウン : (眉間をしかめながら見る) あなたは私がちょっと深刻になると黙っていられなくなるんだから。私の口からアイデンティティという言葉が出るのがそんなに不思議な事なの?

ギョンミン : (いたずら気を交えた目)....ちょっと戸惑うというのはあるな...

ヨンウン : (深刻に見る) 一体私をどう見ているの?あなたは時々私を凄く子供扱いするけど、私、もうかなりの年なのよ。

ギョンミン : 数字上ではそうだ。君は俺より2年も早く生まれたんだから。

ヨンウン : それじゃ私があなたより経験した人生の重さが2年重いという事じゃない。年齢は単純な数字に過ぎない?ふーん、面白い話ね。生きて来た年数はその人の重さと無関係じゃないわ。

ギョンミン : だけどそれは一人の人生をグラフで見た時の話だ。年齢が人の相対的価値を代弁しているわけじゃない。

ヨンウン : 何それ?

ギョンミン : 一人の人が10歳の時と30歳の時は確かに差があるのよ。20年の間にどうやっても何かが加わるんだから。でも別々の二人の30歳が同じとは言えないんじゃないか?時々は12歳のチュニと38歳のソ・ヨンウンとの間に特に差を感じられない事もあるから。

ヨンウン : (睨む) 何だと?

ギョンミン : (笑う) 興奮するな。いつもそうだという事じゃないから。やっぱり大人だから優れた部分もある...

ヨンウン : あるでしょ?あるでしょ?

ギョンミン : いいや。...いや、ある。うん、ある。

ヨンウン : (ハーハーしながら睨み、静かになる).... 元気がないわ....本当に老けたみたい.... もう争う力もない...

ギョンミン : 本当に?こんなんで終り?つまらない。

ヨンウン : (情けなさそうに見る) ツッツッ...こんな事やってて、幼いのは誰よ....

ギョンミン : (舌を出して笑う) ヘ.....俺、B-612惑星人...

ヨンウン : (呆れた目) だから異郷に出て苦労するのね.....


#セアのアパート

(セア、ノートPC点けたまま手組して顎を乗せ、考える。決心したように文字のキー叩く...)


#一週間後、局長室

(セア、テーブルに座っている。カン局長、コーヒーを持って来る。)

カン局長 : だけど随分早く持って来たな。(コーヒーを渡す)

セア : (受ける) 前から言われていたおかげで考えてはいて、それで資料がちょっとあったんです。

カン局長 : そうか。よくやった。ちょっと待て。(インタホン押す) キム・ジウン、ちょっと私の部屋に来なさい。

セア : キム監督の短編、5年前のを見ましたが...

カン局長 : あれはちょっと重いんだ。短編にして重くないものはないが....

(ジウン、入って来る。)

ジウン : お呼びですか?

カン局長 : ああ。この前に話しただろう?11月にミニシリーズを一編やれと。(セアの方に顎を向けて) 作家。

ジウン : (セアを見る) こんにちは。キム・ジウンです。お会い出来て嬉しいです。

セア : (立ち上がって頭を下げる) こんにちは。ユン・セアです。よろしくお願いいたします。

カン局長 : シノプシスが出たから一緒に検討して、出来るだけ早く推進するようにやれ。余裕がないのは分かるだろう?

ジウン : はい。


#休憩室

(ジウンとセア、座っている。ジウン、シノプシスを読んでいる。)

ジウン : 表向きはトレンディ-ですよね?

セア : はい..一応そう言っています。だけど私はそういうのを上手く書けないんです。

ジウン : なさりたい話は?

セア : え?

ジウン : 盛りたい話です。主題。

セア : (笑う) やっぱり違いますね。トレンディ-物で主題を探そうとされるところを見ると..

ジウン : (笑わない) いくらトレンディ-でも差別化されなければ意味がないから。

セア : (首をすくめる) はい.... (見る)容赦です。

ジウン : ....容赦ですか?

セア : はい。

ジウン : (考える) ....どんな範疇の容赦ですか?裏切りや復讐を扱うんですか?

セア : ...いいえ...... そうではなく...自分の容赦です...

ジウン : 自分の容赦....?

セア : もう少しきちんと言うと、自責に対する話になるんです。自責の意味とか効果とでも言いましょうか...

ジウン : シノプシスを読んでみたところでは...男主人公の話のようですね....

セア : はい。

ジウン : とりあえず女主人公中心ではないのは一味違いますね。....(考える) いいですね。気に入りました。この話にしましょう。

セア : (微笑む) ありがとうございます。一生懸命書きます。

(休憩室入口に入って来たサンウ、入口に背を向けたセアとジウンを発見。そっと見る。自動販売機から飲み物を取り出す。しばらく立っていてセアの方を見ている。ギョンミン、入って来る。)

ギョンミン : (サンウに) あっちへ行きましょう。

サンウ : (ギョンミンを見て) はい。

(二人、空いたテーブルに行く。ギョンミン、セアとジウンを発見。そっとサンウを見る。サンウ、無表情。)

ギョンミン : (席に座る) 多分仕事でしょう。11月に始まるものを彼に任せるという話を聞きましたから。

サンウ : (無表情) ....何ですか。

ギョンミン : (笑う) .... 本当に...難しいです...

サンウ : (見る)...... (苦笑)...そのままにしておいて、どうして咎められますか...

ギョンミン : (頭を下げながら笑う) .....(頭を上げる) 本当に面白いですね。あなたをからかうのは。

サンウ : (眉間しかめる) あなたはまったく....

ギョンミン : (くすくす笑う) 可愛いですよ。

サンウ : (顔しかめる) やめてくださいよ。

(ジウンとセア、立ち上がる。セア、サンウを見てビクッとする。サンウ、無表情にそっと見る。)

ギョンミン : (ジウンに) ミニシリーズか?いよいよだな。

ジウン : (淡い微笑み) ああ。あ、その作家。(セアを見る)

ギョンミン : 知ってるよ。(笑う目) お元気でしたか?

セア : (目礼する) はい。監督こそ。ソ先生はお元気ですか?

ギョンミン : ええ。退屈で死にそうだと言っています。少し遊んでやって下さい。

セア : (笑う) 私に遊んで差し上げる才能はないですよ。

サンウ : ......

ギョンミン : 忙しいですか?

セア : いいえ。用事は終わりましたが..

ギョンミン : それでは少しだけお座り下さい。(ジウンを見て) お前は?

ジウン : ああ。俺はこれからスチョル先輩の仕事の仕上げに行かないとならないから。

ギョンミン : そうか。お疲れ様。

(ジウンが行き、セア、きまり悪そうに立っている。)

サンウ : (席の隣へよけて) お座り下さい。

セア : (澄まして座る) ありがとうございます。

(ギョンミン、二人の姿が面白い。)

サンウ : 新しいドラマをされるんですって?

セア : はい、そういう事になりました。

サンウ : どんな話か聞いてもいいですか?

セア : 恋物語です。

サンウ : (頷く).... うちの俳優を使ってくれますか?

セア : どんな俳優がいるのか分かりませんわ。プロフィールを見せてくださるとか...

サンウ : (大きく頷く) そうですね。プロフィールを見なければ...

(ギョンミン、笑いを堪える。サンウ、ギョンミンをチラリと見る。)

セア : (手組をして顎を乗せ、ギョンミンを見る) ところで、今面白いものを撮られているとか?いつ見られますか?

ギョンミン : (慌てて) え?あ...あれですか?9月中旬に放送される予定です。

セア : イ監督が書かれたそうですね。

ギョンミン : (怪しげな) どうして分かったんですか?

サンウ : (ギョンミンとセアを交互に見る) え?イ監督が?

セア : (サンウを見る) チン代表は御存知なかったようですね。知っている人は、少ないですがいるんです...

ギョンミン : ユン作家はどうして..?ソ・ヨンウンが言いましたか?

セア : いいえ。ただ聞いただけです。正当な場所から。

サンウ : (セアを横目で見る) .....

ギョンミン : (苦笑) あ...分かりました....

サンウ : それで秘密にして隠していたんですか?まったく...

ギョンミン : 隠しましたか?いつ?ただ言わなかっただけですよ。

サンウ : 私がこの前、原作が誰なのかと聞いたでしょう?何か大きな秘密になっているみたいにふるまうから...

ギョンミン : (くすぐったい) 原作が俺だと知られたら、信じてもらえなさそうだと思ったんです。お分かりですか?それでなくても視聴率を計算する方が、検証出来ない新人作家だと聞いたらどうするか...

サンウ : 分かっていたら手を出しませんでしたよ。

ギョンミン : でしょうね。そうだと思っていましたから....

セア : (オーバーに) チン代表は新人作家も無視する方ですか?あら...私も新人だわ...気を付けなくちゃ。

サンウ : (戸惑う目)....

ギョンミン : (面白がる目)....

セア : それじゃ新人作家のミニシリーズだから、俳優を投入するつもりはないですね?じゃあ見る必要ないですね、プロフィール。

サンウ : (眉間しかめて睨む).....

セア : (立ち上がって微笑む) それでは私はもう行きます。お二人でお話されて下さい。

(セア、歩いて出て笑いを堪える。サンウ、ぽかんとした表情。ギョンミン、笑いを堪える。)

ギョンミン : ちょっと意外ですよ。こんなにあっさりと振り回される方ではないでしょうに...

サンウ : 振り回される?誰が振り回されるですって?(独り言) どうしてこうなるんだ?一体何があったんだ?


#駐車場

(セア、車に乗る。メールが入って来る。)

" そこにいる。待って"

" どうしようかしら? "

(セア、にんまりと笑う。サンウ、近付く。きょろきょろ見回して助手席に乗る。)

サンウ : (呆れた目で見る)....

セア : (何事もなかったように見る) 来たの?

サンウ : どうしてそうなんだ?君は。

セア : (肩をすくめる) 私が何を?

サンウ : (額を観察してみる) 熱でもあるのか?

セア : ちょっと熱いけど、熱があるというほどではないわ。

サンウ : (見る) それじゃどうしたんだ?どうして...

セア : 私が何をどうしたって?私はユン作家が言うような事を言っただけよ。

サンウ : ユン作家があんなふうにズバズバ物を言うキャラクターか?

セア : 私、あんなキャラクターだと思われているんじゃないかしら?

サンウ : (じっと見る) 考えてみたらそうかもしれないな。ズバズバ物を言う事があるから...

セア : (睨む) そうやってすぐに認めるの?本当の私がそう?

サンウ : よく分からないけど、さっきは確かにちょっとそう見えたんだ。(しつこく) 演技だったら....当社に入るか?本当にそうだと騙されていたんだから。生まれつきの演技力だ。

セア : いつでも発揮される実力ではないので、プロデビューはちょっと考えなくてはなりません。契約金を見て考えます。

サンウ : (見て笑う) まったく....この狐め。

セア : (睨む) .... 誰のせいでこんな事になったのかしら?本当に...

サンウ : ...俺のせいだと?

セア : あなたと関係がないように見せようとしたら、変にふるまうしかないじゃない。...私もイヤなのよ。心にもない事を言うのは..

サンウ : (苦笑) だけど...イ監督は知ってるんだ。

セア : (見る) 話したの?

サンウ : いや。言わなくても分かっていた。

セア : そう...。何にしてもソ先生は分かっているから当たり前ね...

サンウ : ソ作家はどうして知ってるんだ?話したのか?

セア : いいえ。話したのではなくて.... 気がついたら察していたのよ,..

サンウ : いつ知ったんだろう?

セア : (肩をすくめる) 分からないわ。ほとんど正確に分かっているようで.......あ!

サンウ : 何だ?

セア : (苦笑)...

サンウ : どうした?

セア : (黙って笑う)......

サンウ : 一人で笑わずに一緒に笑わせてくれよ。

セア : ソ先生が私たちのキューピットだったみたい。

サンウ : 何だって?

セア : ソ先生の仕事部屋で夕飯を食べたでしょう?

サンウ : ああ。

セア : 変じゃない?私が玄関を開けてあげたじゃない、あなたが来た時。

サンウ : ああ。

セア : そして家へ帰る時、私を送ってやりなさいとやたらけしかけて...

サンウ : ....ああ。

セア : 私の気持ちが分かっていたんだわ、ソ・ヨンウン先生は...

サンウ : ...そうだったんだ。

セア : うん....

サンウ : それじゃ、いつから好きに...

セア : (目をくるりと回して) そうね...

サンウ : ソ作家の仕事部屋以前という事だな..?

セア : よく分からないわ....。スーパーマーケットの駐車場で会った時..?いいえ、それより前だったみたい..

サンウ : あれより前だって?意外に早かったんだな。

セア : (見て苦笑する) 今考えたらそうだという事よ。その時はよく分からなかったわ。あなたが私をストーキングしてるんじゃないかと思ったくらいだから...

サンウ : 俺はそんな事をする人間じゃないだろう?

セア : 分かってるわ。でもその印象が強かったのよ。

サンウ : それじゃ俺がストーキングした。それでいいか?その方がいいか?

セア : イヤよ。誰がそんな行為を好むと言うの?......ただ..

サンウ : ただ、何だ?

セア : (瞬きして見る) あなたなら.....それ....も...

サンウ : (笑う目) 俺にハマったな?ストーカーでもいいほど。

セア : (ため息をつき、顔をしかめる) プライドがとても傷付くわ、本当に。

(サンウ、そんなセアが可愛い。笑いながら引き寄せて抱く....)







(原作出処:sonkhj1116さんのブログ


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